安易に「河野太郎を女系天皇容認論者と断定して良いのか」を落ち着いて考える

はじめに

まこと

今から約1年前の、2020年8月23日に河野太郎氏が自身のYouTube番組のLIVE配信にて、視聴者からと思われる「女系天皇をどう思ってるんですか?」という質問に回答したものが、話題となりましたよね。

(動画44分26秒あたりから)
まこと

これに対し、KAZUYA氏や竹田恒泰氏から、批判的な意見が出されました。

まこと

しかし、安易に女系容認論者と断じて良いのでしょうか。

番組の数日後の会見では、国民に選択肢を提示し、議論を呼びかけているだけのようにも見えます。

まこと

元となった番組の、河野太郎氏の発言を、もう一度落ち着いて読み直そうと思いました。

みなさんの中にも、河野氏の発言を全て聞いていなかった方がいれば、もう一度、落ち着いて考えてみませんか?

河野太郎氏の発言

質問者

河野さんは女系天皇をどう思ってるんですか?

河野太郎

女系天皇・・・今の天皇家はずっと男系で来てますから、それは男系が続くんだったら、男系でもう千年以上来てるわけですから、それは男系でやるのが良いと思ってます。

ただ問題は、天皇陛下、それから秋篠宮様、それから悠仁様、今の世代、次の世代はお一人しかいないわけですから「さあ、どうする」というのはですね、これ真剣にやっぱり考えないといかんと思うんです。

雅子様やら紀子様を見て、皇室にお嫁入りしてくれる人が本当にいるだろうかっていう問題もありますし、結婚したは良いけど「男の子を産め」っていうプレッシャーが掛かってくるわけですよね。

それから人工授精とかですね、色々なことが考えられると思うのですが、それでも男の子がいなくなるという可能性は、確率的にあるんだと思うんです。

かつては側室制度があったりしたわけですけども、この21世紀に側室というのが良いのかっていうと、それはそうはいかないだろうと思いますし、じゃあ、クローンっていうわけにも、やっぱりいかないんだと思います。

そうすると、この男系で行くんだけど、男の子がいなくなる、男子のお世継ぎがいなくなったときにどうするんだっていうことを、やっぱり考えておく必要はあると思います。

で、その時にたぶん、やり方としては愛子様、佳子様、眞子様はじめ、皇室の女性を・・・、皇室、いまもう結婚すると女性は皇室から外れるわけですけども、とにかく女性も皇室の中に残す、そして、男の子がいなくなった時にはしょうがないから、愛子様から順番に女性の皇室のお子様を天皇にしていくということを考えるっていうのが一つあります。

それからもう一つは、旧宮家、マッカーサー、GHQが宮家全部ダメといって民間に戻しちゃった。それを戻すっていう議論をする人がいます。

ただ、旧宮家っていうのはですね、旧宮家なんですけども、いまの天皇家からどこで別れたかというと、1400年代なんですね。要するに、戦後まで残った宮家というのは、全て1400年代に今の天皇家から男系は別れたわけですから、宮家を元に戻せっていうけども、それは600年前に天皇家から別れた人たちなんです。

そうすると、じゃあじゃあ、この人が旧宮家だったからもう一回皇室に養子に入れてっていうけども、遡ると600年前に別れたっていうのは、それは男系という意味ではY染色体は繋がってるとかですね、そういう話なのかもしれませんけども、そっちが本当に良いのかっていう議論は、これやっぱりしていかないといけないと思います。

600年間男系が続いてるっていう保証も確かにありません。

(ここはさすがに言い間違いか何かだと思います)

それからY染色体というのはですね、突然変異しやすい、まぁ確率の問題ですよ。確率の問題だけど突然変異しやすい、回文構造っていう、同じのがたくさん出るっていう意味で、Y染色体ってのは確率的に突然変異が起きやすい。そうすると、仮に元に戻そうといった、宮家の養子にしようといった方の血液かなにかをとってきて染色体の検査、遺伝子の検査をやったら変異があって、そこがズレてたらどうするんだ、繋がってねーじゃねえかっていう話になるかもしれない。ということで本当に国民が支持してくれるだろうか。要するに、Y染色体、いわばタンパク質が大事なのか、あるいは今の天皇陛下をはじめ皇室が国民から尊敬され、象徴だといって受け入れられているというのは、それはもう天皇陛下をはじめ、本当に毎日国民の事を考え、災害が起きれば行って勇気づける。あるいは、色々な行事に出てきて本当にいろいろな分野で頑張っている人を激励をするということを、皇室挙げてやってこられた。そういう皇室の姿を、やっぱり国民は、それを支持してるんだとすると、それはもうその皇室のメンバーである愛子様はじめ、内親王のお子さんの方を素直に次の天皇として受け入れるということもあるんではないかと思います。

だから、最近なんか男系で維持されてるから女系天皇はダメだというけども、じゃあ本当に600年前に別れた人が戻ってきても、それはもう本当の「万世一系」と言えるの?じゃあ、遺伝子調べて微妙に違いがあったらそれはどうなの?っていう所をやっぱり考えないといかんという風に思ってます。

女系だと別系列になるっていうけど、じゃあ600年前に別れたのは別系列じゃねーのかっていうとですね、そう思わない人もたくさんいるんだろうと思います。

遺伝子の問題じゃないというけども、男系だというのは、要するに繋がっているのはY染色体が繋がってますっていうぐらいな話であって、遺伝子の問題なんですよ。

遺伝子以外に何があるんだと。あるいは、国民のために一生懸命皇室が努力をされている、その皇室を大事にするのか、600年前に別れたというその血統を大事にするのか、そういう議論だと思います。だから僕は簡単に女系はダメだと、こういうけども、そんなことを言って600年前の方を元に戻してですね、本当に国民にしっかりと受け入れられるのかどうか、そこは議論が要るんだろうと思います。

河野太郎氏を「安易に」女系容認論者と断ずべきではない

まこと

自分で調べてみて本当に良かった。KAZUYA氏や竹田恒泰氏の意見だけをもって判断せず、

自分の意見として「河野太郎氏はバリバリの女系容認論者」だと断定できました(笑)

まこと

文字起こしが終わった時、笑ってしまいました。

「バリバリじゃねーか」(笑)と。

まこと

文章ひとつひとつを見ると

「~という考え方もあります」

「~と言われることがあります」

「~という議論が必要だと思います」

と中立的に見えなくもないですが、全体の文脈としては

「男系維持策は行き詰まるので、女系を容認する議論をするべき」

僕は、そうとしか読めませんでした。

また、内親王のお子さんを天皇に迎えるのが「素直である」と評価している点など、随所に河野太郎氏自身の考えを見ることもできました。

まこと

こうなってくると、

「男系が続くのであれば、それに越したことはない」

というのも、前提を述べているのではなく、

「それに越したことはないけど、どうせできないでしょ?」

という意味に聞こえてきます。

河野太郎氏の主張のどこが保守的ではないのか

伝統にも、遺伝子学にも、全くド素人の意見ですのでご了承ください。

「現在の天皇との近さ」をなぜか重視していること

発言の中で、旧宮家の方々は現在の天皇と600年以上も離れていると盛んに触れています(7回)。

しかし、僕と同じ意見を持つ方も、きっと多くいるだろうと思いたいですが、

男系血統の中で、「現在の天皇との近さ」というのは、本質ではないと思っています。

それよりも尊重すべきなのは、「神武天皇から男系の血統で続いている」ということであって、「天皇」という皇位は、色々な理由で、偶然とある系統が長い歳月受け継ぐかもしれませんが、それは偶然そうなっているということであり、「神武天皇から一系(男系)で続いている」という凄み(僕はそれを「スゴい」と思っています)は、皇位の所在に関係ないと思います。

また、「神武天皇から一系(男系)で続いている」という事実は、「皇族であるか国民であるか」という現在の身分にも本質的には関係が無いと思っています。

なので、旧宮家をはじめとする男系血統を有する方々が、現在は国民であっても、皇族に復帰(現在の宮家に養子として入るなど、なるべく自然な形を模索するとしても)することに基本的には抵抗感はない、というのが男系維持策を推す人たちの思考だと思います。

「男系を維持する必要性」の根拠を、なぜかY染色体の話題だけ例示していること

遺伝について全く知らないので、皇位継承の話題でなぜこうもY染色体の話題が頻出するか、いつも疑問に思っていました。

御詳しい方に教えてほしいですが、最初にY染色体の話を持ち出していったのは、僕は、むしろ保守陣営からだったのではないかと思っています。

Y染色体の話って、本質ではないところで、女系容認論者に反論材料だけを与えた、「しなくていい議論だった」と思います。

一連の話の流れのなかでは、「男系を維持する必要性」の根拠としてY染色体が主に語られています。当然、それだけではないということも河野氏は知っていると思います。

そもそも、昔の人が「Y染色体」なんて知っているわけないじゃん、「Y染色体が重要だから」という理由で男系継承を続けてきた先人はいないと思います。

天皇を支持する根拠が「国民に寄り添う姿勢である」と思っている節があること

河野氏の考えとして

『国民は、男系血統のY染色体という単なるタンパク質よりも、「国民に寄り添う姿勢」を尊敬し、支持している』

と、僕は読み取りました。

この辺り、意図的に議論を誘導しているのだとしたら、本当に巧妙で、感心するとともに恐怖を覚えます

なぜなら、

【あまり深く考えていないけど、天皇や皇室を支持しているという層】に対して、

支持している理由を錯覚させようとしているから。本当に怖い。

男系維持策を推している人は、『国民に寄り添う姿勢はあった方が良いとは思うが、本質は「祀り主」という役割や、「神武天皇からの血統」である』と考えているのだと思います。

河野太郎は保守政治家ではない、と思う。

僕の考えは、「保守」は突き詰めれば天皇や、天皇に紐づく「皇室」や「伝統」といったものを保守するという意味だと考えていて、

単に国家の安全保障や国益を考えるのが、すなわち保守ではないと思うので、

河野太郎氏は、国益を考える政治家ではあっても、保守的な政治家ではないなと、僕は再認識しました。

KAZUYA氏や竹田恒泰氏についても、最初は「言い過ぎじゃない?」と思いましたが、全然そんなことなかった。

みなさんのお考えもぜひお聞かせくださいませ。

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